熊による被害から最大限身を守るために私たちがすべきこと

熊による被害は後を絶ちません。2016年には500件以上もの被害があったとの報告もあります。 熊による被害から身の安全を最大限守るためには、どんな対策が必要なのでしょうか。熊に遭遇しないためには?もし遭遇してしまった場合は? 冬眠を前にした熊に襲われる被害が多発しているとの情報も。 熊の性質や習性を十分理解し、被害に遭わないよう注意しましょう。

熊の被害から最大限守る前に知っておきたい!熊の性質と習性について

熊はすべての動物の中でも、もっとも臭覚に優れた動物で、一般的に鼻が利くといわれる犬の10倍の臭覚を持つとも言われています。

数キロも離れた場所の匂いですら、かぎつけることができるといいます。

人間や畑を襲う熊を捕獲するために仕掛けた箱罠は、数キロ離れた場所にいる関係のない熊を寄せ付け、捕獲してしまうことも少なくありません。

熊を捕獲する目的とした熊対策は、あまり効果があがらないということもあり、最近では、捕獲したらもう一度山へ戻す放獣という方法か、まれなケースではありますが、動物園などの施設に引き取りを依頼する方法があります。

山中で、熊のツメの後がついた木を見かけたという話を聞いたことはないでしょうか。
熊は、あの大きな身体から想像がつかないほどの俊敏さを持っており、大きな手にある5本の鋭いつめで木や柵など簡単によじ登ったり、土などの耕地を堀り起こすことができる動物なのです。

最大の被害となってしまう前に!必要な熊対策とは?

実際に山で熊とばったり会ってしまったら、どうするのが効果的なのでしょうか。

日本では、北海道にはヒグマが生息し、本州~南にかけてはツキノワグマが生息しています。

ツキノワグマは、ヒグマと比較しても性格がおとなしいとは言われていますが、ばったり人間と出くわしたら、向こうも生き抜くために戦闘モードでくる可能性もあります。

熊対策の持ち物としては、熊よけの鈴を持つという方法もありますが、鈴をつけてずっと歩いていると、鈴の音で周りの音が聞こえにくいというデメリットがあります。

それなら、たまに音を出す(声や笛)という方が良いという意見もあります。

そして、万が一熊に会ってしまったら、パニックになって背を向けて逃げ出すというのは一番やってはいけません。

熊との距離が20mくらいある場合は、ゆっくりと熊の様子を見ながら離れます。

距離が近い場合には、その場に止まった状態で、敵じゃないよというように話しかけるという方法が有効と言えます。話しかけながら、ゆっくり後退し、もしくは熊が去るのをひたすら待つという方法です。

逃げたり、目を反らすと、敵とみなし襲ってくることがありえるからです。

熊による最大の被害を防ぐ!熊と遭遇しないためには?

熊が生息している山かどうかは、目撃情報がない限りはっきりとはわかりません。

山にキャンプに行ったときに、おなかをすかせた熊が、テントに置いてあった食料を狙って山を下りてきたというケースもよく耳にすることです。

先ほども書いたように、熊は臭覚がすごいので、数キロ離れていてもエサの匂いは簡単に嗅ぎつけます。

山の中にテントを張るときには、食料はテントから離したところに置くというのは必須です。

食事をテント近くでした場合、食べ残しや食べかすも残らないように、必ず持ち帰るようにしましょう。

熊の痕跡があれば、近くに生息している可能性が高いです。
一番多いのは、熊のふん。
そして熊の足跡、つめの跡、熊の目撃情報の看板などです。
こうした痕跡を見つけたら、熊に遭遇する危険性が高いということなので、すぐ引き返すのが賢明です。

また、熊が活動する時間帯は、夕方や早朝、天候が悪い時に多いということがわかっています。
これらの時間帯をなるべく避けることが熊に遭遇しないこつと言えるでしょう。

夕方や早朝、悪天候など薄暗いときは行動しない
夕方や早朝、雨や曇り、霧の時など薄暗いときはヒグマがよく活動しています。

視界も悪くヒグマの存在に気付けない場合もあります。
鉢合わせないよう行動を控えましょう。

熊による深刻な被害について

熊の被害は、毎年後を絶ちませんが、その中でも農業や林業への被害が多く、その対策に追われている状態です。

特に農業への被害は、野菜や果物など、収穫時期の直前に野生鳥獣(熊、猪、鹿、猿など)に食べられたり荒らされてしまうというケースがとても多いので、農家にも経済的ダメージはもちろん、精神的にもダメージを与えることになります。

この被害額は、全国で200億前後という多大な額にのぼります。

また、本州以南に生息するツキノワグマは、好んでやわらかい樹皮をかじるという性質から、特に針葉樹(杉や檜など)の樹皮が無残に剥がされ、そのため、成長が止まってしまったり、最悪の場合は木が枯れてしまうということも多く、ツキノワグマによる林業へのダメージも大きいということが言えます。

この被害は「クマハギ」を呼ばれていて、特に西日本付近では深刻な被害が報告されています。

熊被害は冬眠前が多い!?

Brown bear, ursus arctos, observing in forest in summertime nature. Big mammal looking to the camera in woodland. Large mammal standing in wilderness with ferns and beech trees. 出典:123rf

以前は、熊による被害といえば春先の冬眠から目覚めるくらいの時期が多かったのですが、最近では、冬眠前に熊が住宅地にまで下りて来て徘徊したり、山スキー中に熊に襲われたり、など冬眠前の被害も増えてきているようです。

青森県八戸市では、港の倉庫付近や住宅地にまでツキノワグマが現れ、数名の市民が負傷を負ったということもありました。

青森県での熊の出没件数とは年々増える傾向にあり、その数は400~500件にものぼっているそうです。

熊が増えてきている原因としては、熊の大好きなエサであるドングリなどが不作のため、山に食べるものがなくなり、人里まで下りてくるようになったのではないかと言われています。

特に、冬眠に入る前に、充分な栄養を蓄えなくてはいけない秋が、活動範囲が広がる時期として、注意が必要と言えそうです。