魚のアラとクエは一緒?それとも別物?2つが混在してしまう理由
2019.3.25

魚の呼び名は地域によって変わるってご存知ですか?そこでよく論争になるのがアラとクエ。どちらも高級魚と呼ばれる魚ですが、一緒なのか全くの別物なのかでわからなくなってしまうのです。
魚のアラとクエは一緒?それとも別物なのでしょうか。
それぞれの魚の特徴と同じ魚だと言われてしまう理由などご紹介します。
この記事の目次
魚のアラとクエは一緒?それとも別物なのか
私たちが暮らす日本は、海に囲まれているため、お店に行けば色々な種類の海鮮物を新鮮にいただくことが出来ます。
細長い形の日本列島は、それぞれの海域で採れる魚の種類に違いがあります。
また、地域によっても同じ魚なのに呼び名が違って困惑することもありますよね。
魚の「アラ」と「クエ」
この2つの魚はどちらかはよく聞くけれど、もう一方は知らないという人も多いのではないでしょうか。
間違えられやすいこの2種類の魚は、特に九州地方で起こりやすいようです。
結論から言うと魚の「アラ」と「クエ」は別々の魚です。
アラはスズキ科でクエはハタ科、種類も違う魚
誤解されやすいのは料理名から来ているようで、九州の北部では「クエ」を使った鍋料理を「アラちり」と言います。
アラ鍋やアラ汁と言えば、魚の身以外を使って出汁を活かした料理を思い浮かべますよね。
九州北部の人にとっては、アラはクエと同じ魚という意識が強いため、同じ魚と混同されやすいのです。
魚のクエとは違う?アラの特徴
「今日は久しぶりにアラ汁にするね」と九州出身の夫に出したら、「これ、”アラ”じゃないよね?」などという夫婦のやり取りが、もしかすると日本各地で起こっているかもしれません。
アラは超高級魚
アラとクエは同じ魚だと混同されやすい魚です。
しかし、本当の”アラ”は、実は高級魚ということをご存知でしょうか。
アラは日本各地で採れる魚ですが、地域により呼び名が変わり、例えば三重県で採れるアラは”アラマス”、石川県では”ホタ”と呼ばれています。
各地によって呼び名が変わるアラは、秋から冬にかけて旬を迎えます
”アラ”という魚を聞いたことがないという人も多いでしょう。
アラは流通量が少なく、日本で採れる魚の中では高級魚の分類に入ります。
魚料理を出すお店に行ってお金を出せば食べることが出来ますが、店頭に並ぶこともなかなかないため、他の魚と比べると食べる機会が少ない魚と言えます。
ただ流通量が少ないから高級魚と思いがちですが、アラの魅力はその美味しさにもあります。
大きなアラほど身が美味しいですが、大きなアラは漁獲量が非常に少ないため、その分値段も上がります。
手頃な大きさのアラは”コアラ”と呼ばれ、それほど値段は高くなく、アラが穫れる地域では流通しています。
魚のアラに負けない高級魚、クエの特徴と生体
人によってはアラは知らないけれど、クエなら知っているという人もいるのではないでしょうか。
クエもアラと同じく高級魚として知られる魚
魚釣りを趣味にしている人にとっては、一度は釣ってみたい魚としてクエを挙げる人もいるほど。
クエは成魚で60cmほどですが、大きいもので体長2メートルにもなる魚で、日本で穫れる魚の中では非常に大きな部類に入ります。
クエはハタ科の魚で、アラと同じく秋から冬にかけてが釣れやすい時期です。
寒い時期に採れるクエは、全体に脂が乗っていて、身も引き締まり美味しいと人気の魚です。
釣り人の中では、釣り師のロマンとも言われており、大型のクエは何年釣りをしていてもなかなか釣れないというほど難易度の高い幻の魚と言われています。
クエは、鍋料理が絶品と言われていますが、その他にも刺し身や唐揚げ、湯引きなども人気の食べ方です。
天然のクエは、西日本から九州にかけて生息していますが、数自体が少ない高級魚です。
現在では養殖の技術が進み、店頭で見かけることもあるクエ。
旬のクエの美味しさを体験してみたいですね。
魚のクエとアラを食べ比べたらどちらの方が美味しいのか
北海道出身の私にとっては、魚のアラと言えば鮭のアラ汁を思い浮かべてしまいます。
”アラ”という魚の存在自体を今まで知らなかったほどです。
アラとクエ、どちらも高級魚で別々の魚ですが、どちらの方が美味しいのか気になりますよね。
アラはスズキ科で、クエはハタ科の魚なので、どちらも白身魚です。
どちらも流通量が少ないため、市場に出回ることも少なく、どちらの魚も自宅で調理して食べるというよりは、高級料亭などで味わう魚と言えます。
魚釣りを職業とする漁師でさえ、なかなか釣れないというアラやクエは、その風貌からは想像が出来ないような繊細な白身の旨味を味わえます。
料理によって、鍋や煮込みにすると味は区別が付かないほど似ていることもあれば、刺身などダイレクトに魚の味が伝わる料理にすればクエは脂が甘くもっちりした歯ごたえだったり、アラは甘みとコクのバランスがとれた味という違うと楽しむことが出来ます。
いつか、贅沢にアラとクエの両方の味を比べてみるということもしてみたいですね。
アラだけじゃない、クエと見分けづらい魚のハタ
ハタ科のクエは、ハタと見た目が似ていて見分けがしづらい魚です。
同じ種類ということもあり、見た目が似ているというのは当然と言えば当然です。
このクエとハタの違いは旬の時期です。
クエは秋から冬が旬であるということに対し、ハタの旬は夏
クエは大きな魚で、大きければ大きいほど、脂はより乗ってきます。
一方ハタは、小さなサイズでも脂の乗りが良いという特徴があるため、クエの代わりにハタを買っても同じような味を楽しめるということです。
白身魚は一般的に淡白な味の魚が多いですが、クエやハタは白身魚特有のクセがなく、甘みや脂の旨味が感じられる魚です。
クエやハタのアラを使った潮汁は、上質な脂が表面に浮かび、上品な出汁が取れるということからも、これらの魚の美味しさが分かります。
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